1、小麦粉を練り、厚手のなべに平たくして入れ、両面を焼いたもの。


、おやきは信州の郷土食、食文化と言われるものの中でも、話題の豊かさ、料理方法の多さ、日常生活とのつながりの深さからいうと、群を抜いています。
 
 「どうして長野の人はおやき、おやきって騒ぐのか?」と他県の人達は言うかもしれません。しかし長野県で生活してみると、おのずと何種類ものおやきを食べる機会が生まれ、おやきの話しの輪に引きずり込まれるでしょう。
 
 おやきは、手打ちそば、スンキ漬け、御幣餅(五平もち)、野沢菜漬けとともに「味の文化財」に指定されています。昭和58年7月、正式には、「長野県選択無形民俗文化財」として指定されたもの。全国的知名度から見ると、手打ちそばや野沢菜漬けには及ばないかもしれませんが、県内の広い地域の人々が今も作り、食べては楽しみ、語っては楽しむといった庶民性において、おやきは何にも負けません。

 庶民性においておやきが長野県で代表する郷土食の1つと言えるのは、作る人や食べる人が多いことに限りません。おやきを通じて故郷を語り、郷土食を語り、自己の生活体験を語り、過去と現代の差を語るからです。おやきは、あるときは井戸端会議の井戸の役割を果たし、また別なときには高野辰之や中山晋平が故郷を想いつつ作った音楽になるのかもしれません。

 人がおやきを語り始めると、かつて出された珍しいおやきの話になったり、親戚の話になったり、自分の実家と母の実家の違いの話になったり、故郷の産業や慣習の話になったりします。人を訪問した時にも、各地域の食生活の違いを実感するものです。おやきは、十人が見れば十の顔、二十人が見れば二十の顔を持つのかもしれません(^-^)



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